「下手なガイドでありたい・・・。」
12 01, 2016 | Posted in 1日 久米島 ・ 川本剛志
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「下手なガイドでありたい・・・・。」
ちょっと誤解を受けそうですが・・・。
先日、動物写真家の小原玲さんが(写真集「シマエナガちゃん」(講談社ビーシ/講談社)発売中)
ブログで「写真下手」という投稿をアップされていました。
「この20年ぐらいのカメラの進歩は凄まじく、ピントも露出も、瞬間を止めることも、
カメラ任せでプロ並の写真(動物写真も)が撮れるようになっています。
適切な機材と、適切な環境にさえ行ければ、あとは押すだけですので、
1ヶ月もあればプロとほぼ変わらない写真が撮れます。
そんな時代に一生懸命プロと同じような機材に投資して、
プロのような、ちょっと教えれば誰でも撮れる様な写真を撮ることを求めても、
実はちっとも価値はありません。例えピンがあまくてボケてても、
自分の感情を「お上手」な小手先の技術でごまかすのではなく、
感情が見る人に伝わるような写真でないと、見る人の心を動かしません。
「写れ!」「写ってほしい!」の念を込めてそして写ったときには
間違いなく一番色が良く、センサーが出す毛並みの描写も一番細く見えて良い。
最新の機材を使わなくてもいいから、カメラに撮らされるではなく、
カメラで撮ろうと意識を集中する事が大事なのだ・・・。」
・・・っと言う様な内容でした。
・・・・なるほどなと思いました。
僕自身も感じてましたが、確かに、フイルム写真時代の方が限られた枚数の中で
撮影しなければならず(水中では特に)、一期一会を大切にし、限られた枚数の中で、
渾身の集中力と絶対に撮ってやるという強い想いで生態行動など撮影していたと思います。
今の様に、ストロボのTTLが当たり前に効く事もなく、
オートフォーカスがめちゃめちゃ速く決まる事もなく、
ひたすら手動で魚を追い、露出を計り、太陽光とストロボ光を考え、
「写れ」という強い想いで撮影していたように思います。
秒10コマ(一秒間に10回連写出来る)でなくても、
秒4コマでザトウクジラのブリーチングの頂点を抑えていたように思います。
プロの写真家でない僕でさえも、そこには、カメラ任せではく、
はっきりとした自分の意思があった思います・・・・。
そして、ふと、自分の仕事に置き換えて考え込んでしまいました・・・。
「ガイドは意外性」などと言いながら、奇を衒ったような浅ましいガイドをしてないか?
「起承転結」などと言いながら、小さくガイディングを纏めてないか?
「癒し」などとほざきながら、安易に薄っぺらい綺麗なだけのガイドをしてないか?
以前、東京の新橋で「BOX」というダイバーや写真家の集まる居酒屋を経営されている
久海ちゃんから、「貴方のガイドは、汗臭いガイドだ」と言われた事があります。
「ゲストに色々と見せる為に動き周り、へとへとになりながらする
汗っかきなガイド」・・・だと・・・。
もっとカッコいい表現があるだろうと、ちょっとムッとしましたが、生物相手の仕事
だし、まあ、俺らしくていいやと思い、妙に納得したのを覚えています。
月日は流れ、ゲストの潜り方も変わり、ガイディングの様相も変化してきました・・・。
ゲストあってのガイドですから、もちろん柔軟性は必要ですが、
忘れてはならない、そして決して変わってはならない心に秘めた色の付いていない
「ガイドダイバーの矜持」もあると思います。
「下手なガイドダイバーでありたい・・・。」
器用でなくていいから、へとへとになりながら汗をかき、
「お上手」な小手先の技術で、ゲストが気が付かないその場凌ぎに頼る事なく、
驕らずに、疲れていても、次のガイドの為に日々調査をし、
生命が躍動し、ほとばしる様な瞬間を魅せられる
魂の籠ったガイドをするガイドダイバーで在りたい・・・。

写真は、今年の3月に撮影したザトウクジラの写真です。(写真はクリックすると大きな画面で見られます)
初めて見た光景ですが、そう表現するしかない様な狂った雄が、
親子の母子クジラの雌(母クジラ)に猛然とアプローチを掛けている場面です。
雄クジラに背中に覆い被されそうになりながら、必死で子クジラを庇い、
雄のアタックから逃げてました。
母クジラや子クジラの皮、襲う雄クジラの皮が剥げ、辺り一面に舞ってました・・・。
襲って来る雄クジラから子クジラを守る為に体のコントロールが効かずに
こちらに向かって来る母子クジラから逃げる前の瞬間で、
初めてザトウクジラの撮影中に自分から逃げました。
そのくらいもの凄い勢いの突進でした。
ピンボケだし、決して綺麗な写真でありませんが、こんな写真が好きですし、
ダイビング中も、こんな熱い場面をガイドしたいと思っています・・・。
・・・・勿論、様子を見に行って無理だと思ったので、
流石に、この時は、一日ホエールウォッチングコースのゲストさんには、
水中ウィッチングは遠慮してもらいましたが・・・・(^_^;)
(ゲストの皆さんも、「合図出されても入らない」と言ってましたし・・・( ̄▽ ̄;)
さて、今日から、久米島エスティバンの来年の1月28日から始まる一日ホエール
ウォッチングコースの予約受付が始まります。
ぜひ、奇跡の瞬間を一緒に共有しましょう・・・。

水温が例年より高いせいか、まだまだ、モンツキカエルウオの卵保護やハッチアウトも狙えます。

スミレナガハナダイの産卵も盛んです・・・。

白化から少しずつ戻りつつあるミドリイシです。中央部分左側は新たな褐虫藻を取り入れ
戻り、右側は死んでしまい藻が付いている状況です。中央部分左の色付き初めている
部分は戻りつつありますが、中央部右の白化部分は、まだ、何とも言えません。
同じサンゴ内でも、個体差や部分差で、生き抜く強さの差があり、そこには、被害を
受けた状況やそれまで成長してきた過程が大いに反映します(例えば、高水温に
喘ぎながら、どれほど強烈な紫外線を受け続けたか?などなど・・・)。
このワンカットのこの部分を見ても解る様に、ごくごく僅かな差が、明暗を分け、
生死を決めるのです・・・・。

グランビュータートルではアオウミガメがヤマブキベラにクリーニングされてました・・・。
例年より遅いのですが、マンタも出始めました。ぜひ、ガイドさせてください・・・。
![2015123122491107bs[1]](https://blog-imgs-91-origin.fc2.com/s/e/k/sekainoumi/20161128204518e2f.jpg)
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ちょっと誤解を受けそうですが・・・。
先日、動物写真家の小原玲さんが(写真集「シマエナガちゃん」(講談社ビーシ/講談社)発売中)
ブログで「写真下手」という投稿をアップされていました。
「この20年ぐらいのカメラの進歩は凄まじく、ピントも露出も、瞬間を止めることも、
カメラ任せでプロ並の写真(動物写真も)が撮れるようになっています。
適切な機材と、適切な環境にさえ行ければ、あとは押すだけですので、
1ヶ月もあればプロとほぼ変わらない写真が撮れます。
そんな時代に一生懸命プロと同じような機材に投資して、
プロのような、ちょっと教えれば誰でも撮れる様な写真を撮ることを求めても、
実はちっとも価値はありません。例えピンがあまくてボケてても、
自分の感情を「お上手」な小手先の技術でごまかすのではなく、
感情が見る人に伝わるような写真でないと、見る人の心を動かしません。
「写れ!」「写ってほしい!」の念を込めてそして写ったときには
間違いなく一番色が良く、センサーが出す毛並みの描写も一番細く見えて良い。
最新の機材を使わなくてもいいから、カメラに撮らされるではなく、
カメラで撮ろうと意識を集中する事が大事なのだ・・・。」
・・・っと言う様な内容でした。
・・・・なるほどなと思いました。
僕自身も感じてましたが、確かに、フイルム写真時代の方が限られた枚数の中で
撮影しなければならず(水中では特に)、一期一会を大切にし、限られた枚数の中で、
渾身の集中力と絶対に撮ってやるという強い想いで生態行動など撮影していたと思います。
今の様に、ストロボのTTLが当たり前に効く事もなく、
オートフォーカスがめちゃめちゃ速く決まる事もなく、
ひたすら手動で魚を追い、露出を計り、太陽光とストロボ光を考え、
「写れ」という強い想いで撮影していたように思います。
秒10コマ(一秒間に10回連写出来る)でなくても、
秒4コマでザトウクジラのブリーチングの頂点を抑えていたように思います。
プロの写真家でない僕でさえも、そこには、カメラ任せではく、
はっきりとした自分の意思があった思います・・・・。
そして、ふと、自分の仕事に置き換えて考え込んでしまいました・・・。
「ガイドは意外性」などと言いながら、奇を衒ったような浅ましいガイドをしてないか?
「起承転結」などと言いながら、小さくガイディングを纏めてないか?
「癒し」などとほざきながら、安易に薄っぺらい綺麗なだけのガイドをしてないか?
以前、東京の新橋で「BOX」というダイバーや写真家の集まる居酒屋を経営されている
久海ちゃんから、「貴方のガイドは、汗臭いガイドだ」と言われた事があります。
「ゲストに色々と見せる為に動き周り、へとへとになりながらする
汗っかきなガイド」・・・だと・・・。
もっとカッコいい表現があるだろうと、ちょっとムッとしましたが、生物相手の仕事
だし、まあ、俺らしくていいやと思い、妙に納得したのを覚えています。
月日は流れ、ゲストの潜り方も変わり、ガイディングの様相も変化してきました・・・。
ゲストあってのガイドですから、もちろん柔軟性は必要ですが、
忘れてはならない、そして決して変わってはならない心に秘めた色の付いていない
「ガイドダイバーの矜持」もあると思います。
「下手なガイドダイバーでありたい・・・。」
器用でなくていいから、へとへとになりながら汗をかき、
「お上手」な小手先の技術で、ゲストが気が付かないその場凌ぎに頼る事なく、
驕らずに、疲れていても、次のガイドの為に日々調査をし、
生命が躍動し、ほとばしる様な瞬間を魅せられる
魂の籠ったガイドをするガイドダイバーで在りたい・・・。

写真は、今年の3月に撮影したザトウクジラの写真です。(写真はクリックすると大きな画面で見られます)
初めて見た光景ですが、そう表現するしかない様な狂った雄が、
親子の母子クジラの雌(母クジラ)に猛然とアプローチを掛けている場面です。
雄クジラに背中に覆い被されそうになりながら、必死で子クジラを庇い、
雄のアタックから逃げてました。
母クジラや子クジラの皮、襲う雄クジラの皮が剥げ、辺り一面に舞ってました・・・。
襲って来る雄クジラから子クジラを守る為に体のコントロールが効かずに
こちらに向かって来る母子クジラから逃げる前の瞬間で、
初めてザトウクジラの撮影中に自分から逃げました。
そのくらいもの凄い勢いの突進でした。
ピンボケだし、決して綺麗な写真でありませんが、こんな写真が好きですし、
ダイビング中も、こんな熱い場面をガイドしたいと思っています・・・。
・・・・勿論、様子を見に行って無理だと思ったので、
流石に、この時は、一日ホエールウォッチングコースのゲストさんには、
水中ウィッチングは遠慮してもらいましたが・・・・(^_^;)
(ゲストの皆さんも、「合図出されても入らない」と言ってましたし・・・( ̄▽ ̄;)
さて、今日から、久米島エスティバンの来年の1月28日から始まる一日ホエール
ウォッチングコースの予約受付が始まります。
ぜひ、奇跡の瞬間を一緒に共有しましょう・・・。

水温が例年より高いせいか、まだまだ、モンツキカエルウオの卵保護やハッチアウトも狙えます。

スミレナガハナダイの産卵も盛んです・・・。

白化から少しずつ戻りつつあるミドリイシです。中央部分左側は新たな褐虫藻を取り入れ
戻り、右側は死んでしまい藻が付いている状況です。中央部分左の色付き初めている
部分は戻りつつありますが、中央部右の白化部分は、まだ、何とも言えません。
同じサンゴ内でも、個体差や部分差で、生き抜く強さの差があり、そこには、被害を
受けた状況やそれまで成長してきた過程が大いに反映します(例えば、高水温に
喘ぎながら、どれほど強烈な紫外線を受け続けたか?などなど・・・)。
このワンカットのこの部分を見ても解る様に、ごくごく僅かな差が、明暗を分け、
生死を決めるのです・・・・。

グランビュータートルではアオウミガメがヤマブキベラにクリーニングされてました・・・。
例年より遅いのですが、マンタも出始めました。ぜひ、ガイドさせてください・・・。
![2015123122491107bs[1]](https://blog-imgs-91-origin.fc2.com/s/e/k/sekainoumi/20161128204518e2f.jpg)
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