サンゴと褐虫藻。
12 24, 2015 | Posted in 24日 鹿児島/屋久島・高久 至
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屋久島ダイビングライフの高久至です。
番田さん、、、なんか寂しいですね(涙)
そうなんです、来年から少々海の旅に出ようと思っていますので、
このブログを書くのも最後になりそうです。。。
今年の締めくくりでもあるし何を書こうか悩みましたが、
最近はまっているサンゴについてです。
少し長いですがお付き合いください!

色とりどりのヒメサンゴガニの仲間
毎年この時期には国の事業でサンゴ調査をやっているので、
自然とサンゴへの関心が高まります。
しかし伊豆の海で育った僕にとってはサンゴよりも、海藻の方が馴染み深く好きでした。
太陽の光を受けて揺らめく情景、生物を優しく包み込み育む海藻に、
日本情緒を感じるからです。
屋久島に来てもうすぐ7年。初めはとっつき難いと思っていたサンゴとも徐々に
親睦を深め、最近は海藻と同じくらいに愛おしい生き物になりました。
そもそも南方の生き物が多い屋久島の海をサンゴ抜きでは語れません!
なんて偉そうなこと言って、最後の最後にようやく少し語る程度ですが。。。
植物プランクトンの多い海藻の森が生き物が多いのは分かります。
ではなぜ、青く澄んだ植物プランクトンの少ないサンゴの海に
多種多様な生き物がいるのか?
素朴な疑問だけど、意外と答えられない人も多いのではないだろうか。
動物であるサンゴには褐虫藻が共生している事はダイバーならご存知だと思います。
この2つの生き物の共生関係が実に奥深い。
当然ながら共生なので、サンゴは褐虫藻に、
褐虫藻はサンゴにとって有益であろうとします。
「褐虫藻→サンゴ」
①光合成によって作り出した莫大なエネルギーの9割をサンゴに渡す。
「サンゴ→褐虫藻」
①サンゴは褐虫藻のために快適な住居(日当たり良好にするために枝を広げる)を提供する。
②水中の二酸化炭素を集めて褐虫藻に渡す。
③水中に不足している栄養素である、窒素とリンを排泄物という形で褐虫藻に渡す。
④強すぎる陽射しから褐虫藻を守るために、また弱すぎる陽射しを
効率よく吸収できるように蛍光たんぱく質をもつ。
サンゴは褐虫藻から得たエネルギーの半分を成長するために使い、
残りの半分は粘膜の生産に使います。
粘膜は身体の保護や、泥や砂などを洗い流すために必要なものです。
そしてこの「粘膜」こそが、サンゴ礁の生態系を支えている重要な栄養源なんです!
粘膜は栄養たっぷりで、これによってバクテリアが増える。
そして動物プランクトンが増え、魚が増えるってな分けです。
サンゴに住に寄り添って暮らすエビやカニや貝などのように
直接粘膜を食べるものもいます。こうして住居と栄養源があることによって、
豊かで複雑な生態系が出来上がっていきます。
実はこの話し今読んでいる 「サンゴとサンゴ礁のはなし」 本川達雄著 に
書いてあります。。。今回は頭の中を整理するために書いた自分用の備忘録です(笑)
壮絶に凝縮したので、本書の濃い内容はまったく伝え切れてませんが。
最初の疑問の
「なぜ、青く澄んだ植物プランクトンの少ないサンゴの海に
多種多様な生き物がいるのか?」は、
サンゴとサンゴに共生する褐虫藻のお陰です。
無機質なサンゴも結局の所は褐虫藻という藻類に頼っているんです。
海藻の森とサンゴの森は良く似ていますね。

フタスジリュウキュウスズメダイ
サンゴに強く依存しいているこの手の魚がいるのといないのでは、
サンゴの成長速度に違いがあるようです。
もちろんサンゴが良く育つ方に!

サンゴヤドリガニの仲間
こちらはハナヤサイサンゴを棲み家とする面白い生態のカニ

こっちもサンゴヤドリガニの仲間。こちらは初めて見たので数は少ないはず。
さて、ウダウダ書いてますが、もう少し。。。
50年前、屋久島は海藻の森(大型のワンダワラ類)で覆われていました。
30年前頃にはほとんどなくなり、今に至っています。
磯焼けと言うのは昔からあったことなんです。
在は日本各地で磯焼けが問題になっています。
磯焼けした海の岩は無節サンゴモで覆われて、海藻が育たなくなります。
この無節サンゴモってのが面白い生き物!
無節サンゴモはこんな生き物。
(アクアリストがライブロックと呼んでいるのもこの仲間)

サンゴモは紅藻の仲間なのですが、身体は石灰質でできていて硬く、まるでサンゴのよう。
そしてなんと、サンゴ礁を作っているのはサンゴよりも、
藻類であるサンゴモの働きの方が大きいとの話もあるようです!
サンゴ礁は死んだサンゴの上に増築を繰り返す事で成り立つけど、
サンゴとサンゴを繋ぎとめるのはサンゴモの役割です。
サンゴ礁の発達にはこのサンゴモの働きが不可欠なのです。
磯焼けの鍵となるサンゴモは南方の海ではサンゴ礁を作っているんです!
では磯焼けが進んだ海域は、やがてサンゴの海になるのだろうか?
その前兆というのか先駆けとして現れているのかもしれない。
でもサンゴモは北の海に、もともと多い生き物だからそうとも言えないよなぁ。
と、悶々と考えてます。
最後にもう少し!
オニヒトデの大発生にしろ磯焼けにしろ、自然のできごと。
人の影響がどれほどあってのことなのかは良く分からない。
自然が不変でなく変わりゆくものだという当たり前の事実を認めれば、
もう少し優しい目でそれらの現象と向き合えるのではないだろうか。
サンゴが壊れて困るのは人だし、海藻がなくなって困るもの人です。
自然に合わせて人が変わっていくのが正しい自然との接し方だと思うのです。
長々と書いてしまいましたが、正直なところ、分からない事だらけ。
そんな訳でもっともっと海を知るために、海を放浪する旅に出ることにしました。
来年は日本の海の各地で出没すると思うので、
見かけたらケツでも叩いてくださいね。
それではありがとうございました!
しまった、今日はクリスマス・イブですね。
最近入手したサンゴ図鑑をプレゼントします。
(教えてもらったリンクを張ってるだけですが)
「日本の有藻性イシサンゴ類 ~種子島編~」
http://www.nies.go.jp/biology/pr/br/02.html
サンゴ図鑑ってひと昔もふた昔も前のものしかありませんが、
最新の情報満載です!これが無料で見れるなんて、心が広い!

ムサラキコモンサンゴとカンザシヤドカリ
いままで綺麗なポリプと呼ぶしかできませんでしたが、名前があることは嬉しいものです。
明日は沖縄より木戸サンタさんです!よろしくお願いします!!
↑これも最後ですね(涙)

高久 至 TAKAKU ITARU
ガイド会HPプロフィール
屋久島ダイビングライフ
高久至写真事務所
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番田さん、、、なんか寂しいですね(涙)
そうなんです、来年から少々海の旅に出ようと思っていますので、
このブログを書くのも最後になりそうです。。。
今年の締めくくりでもあるし何を書こうか悩みましたが、
最近はまっているサンゴについてです。
少し長いですがお付き合いください!

色とりどりのヒメサンゴガニの仲間
毎年この時期には国の事業でサンゴ調査をやっているので、
自然とサンゴへの関心が高まります。
しかし伊豆の海で育った僕にとってはサンゴよりも、海藻の方が馴染み深く好きでした。
太陽の光を受けて揺らめく情景、生物を優しく包み込み育む海藻に、
日本情緒を感じるからです。
屋久島に来てもうすぐ7年。初めはとっつき難いと思っていたサンゴとも徐々に
親睦を深め、最近は海藻と同じくらいに愛おしい生き物になりました。
そもそも南方の生き物が多い屋久島の海をサンゴ抜きでは語れません!
なんて偉そうなこと言って、最後の最後にようやく少し語る程度ですが。。。
植物プランクトンの多い海藻の森が生き物が多いのは分かります。
ではなぜ、青く澄んだ植物プランクトンの少ないサンゴの海に
多種多様な生き物がいるのか?
素朴な疑問だけど、意外と答えられない人も多いのではないだろうか。
動物であるサンゴには褐虫藻が共生している事はダイバーならご存知だと思います。
この2つの生き物の共生関係が実に奥深い。
当然ながら共生なので、サンゴは褐虫藻に、
褐虫藻はサンゴにとって有益であろうとします。
「褐虫藻→サンゴ」
①光合成によって作り出した莫大なエネルギーの9割をサンゴに渡す。
「サンゴ→褐虫藻」
①サンゴは褐虫藻のために快適な住居(日当たり良好にするために枝を広げる)を提供する。
②水中の二酸化炭素を集めて褐虫藻に渡す。
③水中に不足している栄養素である、窒素とリンを排泄物という形で褐虫藻に渡す。
④強すぎる陽射しから褐虫藻を守るために、また弱すぎる陽射しを
効率よく吸収できるように蛍光たんぱく質をもつ。
サンゴは褐虫藻から得たエネルギーの半分を成長するために使い、
残りの半分は粘膜の生産に使います。
粘膜は身体の保護や、泥や砂などを洗い流すために必要なものです。
そしてこの「粘膜」こそが、サンゴ礁の生態系を支えている重要な栄養源なんです!
粘膜は栄養たっぷりで、これによってバクテリアが増える。
そして動物プランクトンが増え、魚が増えるってな分けです。
サンゴに住に寄り添って暮らすエビやカニや貝などのように
直接粘膜を食べるものもいます。こうして住居と栄養源があることによって、
豊かで複雑な生態系が出来上がっていきます。
実はこの話し今読んでいる 「サンゴとサンゴ礁のはなし」 本川達雄著 に
書いてあります。。。今回は頭の中を整理するために書いた自分用の備忘録です(笑)
壮絶に凝縮したので、本書の濃い内容はまったく伝え切れてませんが。
最初の疑問の
「なぜ、青く澄んだ植物プランクトンの少ないサンゴの海に
多種多様な生き物がいるのか?」は、
サンゴとサンゴに共生する褐虫藻のお陰です。
無機質なサンゴも結局の所は褐虫藻という藻類に頼っているんです。
海藻の森とサンゴの森は良く似ていますね。

フタスジリュウキュウスズメダイ
サンゴに強く依存しいているこの手の魚がいるのといないのでは、
サンゴの成長速度に違いがあるようです。
もちろんサンゴが良く育つ方に!

サンゴヤドリガニの仲間
こちらはハナヤサイサンゴを棲み家とする面白い生態のカニ

こっちもサンゴヤドリガニの仲間。こちらは初めて見たので数は少ないはず。
さて、ウダウダ書いてますが、もう少し。。。
50年前、屋久島は海藻の森(大型のワンダワラ類)で覆われていました。
30年前頃にはほとんどなくなり、今に至っています。
磯焼けと言うのは昔からあったことなんです。
在は日本各地で磯焼けが問題になっています。
磯焼けした海の岩は無節サンゴモで覆われて、海藻が育たなくなります。
この無節サンゴモってのが面白い生き物!
無節サンゴモはこんな生き物。
(アクアリストがライブロックと呼んでいるのもこの仲間)

サンゴモは紅藻の仲間なのですが、身体は石灰質でできていて硬く、まるでサンゴのよう。
そしてなんと、サンゴ礁を作っているのはサンゴよりも、
藻類であるサンゴモの働きの方が大きいとの話もあるようです!
サンゴ礁は死んだサンゴの上に増築を繰り返す事で成り立つけど、
サンゴとサンゴを繋ぎとめるのはサンゴモの役割です。
サンゴ礁の発達にはこのサンゴモの働きが不可欠なのです。
磯焼けの鍵となるサンゴモは南方の海ではサンゴ礁を作っているんです!
では磯焼けが進んだ海域は、やがてサンゴの海になるのだろうか?
その前兆というのか先駆けとして現れているのかもしれない。
でもサンゴモは北の海に、もともと多い生き物だからそうとも言えないよなぁ。
と、悶々と考えてます。
最後にもう少し!
オニヒトデの大発生にしろ磯焼けにしろ、自然のできごと。
人の影響がどれほどあってのことなのかは良く分からない。
自然が不変でなく変わりゆくものだという当たり前の事実を認めれば、
もう少し優しい目でそれらの現象と向き合えるのではないだろうか。
サンゴが壊れて困るのは人だし、海藻がなくなって困るもの人です。
自然に合わせて人が変わっていくのが正しい自然との接し方だと思うのです。
長々と書いてしまいましたが、正直なところ、分からない事だらけ。
そんな訳でもっともっと海を知るために、海を放浪する旅に出ることにしました。
来年は日本の海の各地で出没すると思うので、
見かけたらケツでも叩いてくださいね。
それではありがとうございました!
しまった、今日はクリスマス・イブですね。
最近入手したサンゴ図鑑をプレゼントします。
(教えてもらったリンクを張ってるだけですが)
「日本の有藻性イシサンゴ類 ~種子島編~」
http://www.nies.go.jp/biology/pr/br/02.html
サンゴ図鑑ってひと昔もふた昔も前のものしかありませんが、
最新の情報満載です!これが無料で見れるなんて、心が広い!

ムサラキコモンサンゴとカンザシヤドカリ
いままで綺麗なポリプと呼ぶしかできませんでしたが、名前があることは嬉しいものです。
明日は沖縄より木戸サンタさんです!よろしくお願いします!!
↑これも最後ですね(涙)

高久 至 TAKAKU ITARU
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