最高の瞬間【放浪編】
10 31, 2009 | Posted in 1日 久米島 ・ 川本剛志
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皆さん、こんにちは!久米島の海から、一般的に受けそうな画像から入った姑息な川本です(笑)。
いかんいかん、ガイド会の会員たる者、骨太な話題を提供しなければ??
因みに、画像はギンガメアジの群れを背に求愛行動に励むヤマブキベラの雄です(中央にいる
ヤマブキベラが小さすぎて解んない??いいから、いいから、雰囲気、雰囲気です)。
さて、今回は雑種(ハイブリット)のお話でいきたいと思います。
生物間の雑種は、研究者サイドで考える以上に自然界では頻繁に起こっています。
特に、ベラの仲間達の間ではその最たるものなのではないでしょうか?
沖縄では普通に浅場で見られるハコベラやヤンセンニシキベラ・ヤマブキベラ・オトメベラや
セナスジベラなどなどのベラ達の雄は、自分の繁殖行動を邪魔されないように、お互いを牽制
しあいながら、狭い時には半径3mぐらいの範囲で求愛行動から繁殖行動を繰り返します(こ
こでの邪魔されないようにという意味は、他種の雄が自分の雌を誘おうとすると言う意味では
なく、自分の動きを邪魔されたくなくてという意味です)。


画像は、2枚ともオトメベラと同属の別種のハイブリットだと思われる画像です。
図鑑と見比べれば、色彩が通常のものとは異なっているのが解るでしょう。最近
では、この属に人工授精ではない自然雑種があることが報告されているので、同
属の別種との交雑個体の可能性もあり得ます(つまり、AにBとCのハーフが混
ざって生まれると言う意味です)。ただ、これらの雑種は、ちょうど中間的な特
徴を持っていれば見分けやすいのですが、そうでないと画像だけでは判断のしよ
うがないのです。あくまで、想像ですが、画像の個体は、体側の前部が淡くなっ
ている感じはヤマブキベラに似てるように思いますが??
もし、交雑個体だとすれば、仮に産卵放精に至ったとしても子孫を残せるかどう
かは解りません。また、交雑個体でも戻し交雑によって繁殖可能となれば、遺伝
浸透によって一方の種の特徴がもう一方に取り込まれることも起こりえます。
そうなるといろいろな色彩のものが観察される可能性もあるでしょう。実際、コ
ガシラベラにも「??」っと、言うような体色をしているものもいますから、そ
んなことが原因なのかも知れません。
それにしても、これほど頻繁に交雑個体を観察される事自体が最初は驚きでし
た。交雑が一代限りなのか、戻し交雑や雑種個体同士の交雑が可能なのか、いろ
いろ興味深いところですが、何とも、観察や画像だけから結論を導くには事例を
積み重ねていくしかないのです(泣)。
自然雑種{人工授精に対する自然という意味で、交雑はここでは種間を意味して
います。その段階に偶然性の高いものから(側で放精放卵してた別種の精子か卵
子の受精してしまうという事)、ペアを作るものまでいろいろあると思われます
が、ある雄が別種の雌と繁殖行動しているのは観察した事がありません。なお、
補足ですが、野外ではあり得ない種同士でも、人工授精ならF1ができることはよ
くあるそうです。驚きの話ですが、属間ですら雑種ができるそうです。すげぇ~
な~!新種作って、発表しちゃおうかな(笑)}
戻し交雑{AとBの雑種が生まれた場合、その個体がAとBのどちらから、より
多くの遺伝情報を受け継いでいるのかでその雑種の特徴がでると思われます。つ
まり、ハコベラとヤンセンニシキベラの雑種の場合、その個体にハコベラ色が強
ければ、ハコベラの雌と繁殖行動を行います。そして、自然にその雑種の子孫は
、雑種から元の固定の種に戻っていく交雑の事です。}
色々と小難しいお話になりましたが、最後は、ハコベラとヤンセンニシキベラの
ハイブリットの画像です。顔がハコベラで体がヤンセンでしょ?これは、解りやすいでしょ?!
来月は、ベラの繁殖についてのお話です。
「またかい?!」と思われた貴方、結構突っ込んだ内容も書きますから、乞うご期待ですよ!!

川本 剛志 KAWAMOTO TSUYOSHI
プロフィール(ガイド会WEB内)
http://www.guide-kai.com/member/t.kawamoto.html
DIVE ESTIVANT
沖縄県島尻郡久米島比嘉901-3108
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