生き物との付き合い方

03 17, 2016 | Posted in 17日 小笠原 ・ 南 俊夫

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みなさんこんにちは
17日は小笠原諸島父島から南です。

父島は相変わらずザトウクジラのシーズン真っ只中です。
が、実は、僕は今シーズンはまだあまり海に出ていません。

しかし、クジラはたくさん見ていますよ!山の展望台からですけど

というのは、大型船舶とクジラの行動の関係性を調べるためのプロジェクトに参加させていただいているのです。
山の展望台から測量機器のセオドライを使ってクジラの動きを記録し、父島から母島に行く「母島丸」とどう関係があるのかを記録しています。
実は僕は、土木監督をしていた時代もあり、測量機器の扱いには慣れているのです。
「測量機器が扱えてクジラの動きにもなれている人」
という人はあまりいないようでご指名いただいたしだいです。

セオドライとはカメラでいうと1500ミリくらいのレンズといった感覚でしょうか?
それでクジラの位置にあわせて、接続されたパソコンのソフトに位置を記録しています。
セオドライトの観測者がクジラを追い
たとえば、「ブロー」というと
パソコンの記録者が、「ピッ」とブローのキーを押すとブローの記録が、
「フルークアップ」と言えば、ピッと、そのキーを押す
といった具合にクジラの位置をリアルタイムに記録していきます。

これがその調査風景です。

     160226_DSC9333.jpg
  
左から、パソコン操作者、セオドライト操作者、右は録画機能ある双眼鏡で状況を録画し、後でセオドライトで記録できなかった行動を補足します。

同時に母島丸にも調査員が乗って、船の航路のデータや目視でクジラの位置なども記録します。
また航路を挟んだ海の中の2箇所に水中マイクを設置していて、クジラの声を録音しています。
これらを全てリンクさせることによって一つの結果がでるようですが、その辺の難しいことは大学の先生や一緒に調査している大学院生たちが、日々あれこれ頭を悩ませているようです。

陸上からクジラたちを長時間見ていると、視界の狭い海上から観察していたのでは分からなかったこともたくさん見えてきて楽しいのですが、ボートがクジラに悪影響を与えているのも見えてしまったり・・・
この調査は大型船とクジラの関係を調べるためのものなので、ウォッチング船が見ているクジラは調査から外しているのですが、このときは僕らが調査対処としたクジラをウォッチングボートが見つけて見にきたときのことでした。
この親子クジラのブローを見つけたボートは、クジラの進行方向に向かって結構なスピードでボートを走らせました。
ボートはクジラの進行方向を平行に進むと、クジラを大きく追い越した状態でボートを止めました。
ボートは追い越すときもクジラからの距離は100mほど離れていたので、クジラに突っ込むといった感じではないのですが(大きく回りこんだ感じです)まっすぐに泳いでいたクジラたちはボートが追い越すぐらいのタイミングで、90度向きを変えました。
そして、追い越したボートが止まったころにはさらに90度、つまり進んでいた方向を逆戻りしはじめました。
小笠原のホエールウォッチングのルールではクジラの距離は、進行方向は300m、それ以外は100mなのですが(クジラから近づいてきたときはそのまま動かない)
正直、普段もボートは100mよりも近づいて見ている事もありますし、5隻以上のボートが同じクジラをウォッチングすることもありますが、クジラたちが嫌がって行動を変えるようなことはあまりないと感じていました。
しかし、正面に回りこまれるのは嫌ということが、クジラと船の動きが分かる展望台からの観察でよく分かりました。

最近、ストランディングしたクジラの上に乗ってポーズを撮った写真がコンテストに入賞して問題となっていましたが、自分自身もガイドする側として、良いシーンを見てほしい気持ちや、写真を撮るときに良い背景に入れたくてクジラに必要以上に近づくこともありましたが、改めて生き物との接し方を考えていかないといけないと思いました。

以下は、写真家水口博也さんのブログからの引用です。
今回のコンテストにあてて書いたものではなく2015年5月29日のものです。

写真は、そこにあるものを写しだしているだけなのに、撮影者の心のありかたを如実に反映します。(自戒の意味もこめてですが)一見迫力のある写真に思えながら、そこに見えるのは撮影者の動物に対する傲慢さだったり、近寄りさえすればいいと考える精神の貧しさだけという例は数えきれません。写真は、それを撮影した人が、どれだけ深くものごとを考え、学んできたかなど、歩んできた道を如実に反映しています。

さて、
今年はクジラの数も多く、今朝の1時間半ほどの観察でも、6ポッド20程のクジラを確認できました。
また、ボートに近寄ってくるクジラも多いといううれしいシーズンです。
しかし、個人的な感覚では、今までもよくあった子クジラが好奇心でボートに寄ってきた、とか若いクジラがひっついた。というようなこと以外にも、サカリがついたオスクジラたちが、ボートを威嚇のように見に来ることが多い気がします。
先日も1頭のクジラがのんびりした感じで水面であお向けになり、ペックスラップをしていたので撮影していたのですが、このクジラは潜ったと思ったら突然ボートの脇に浮上!その後、何度もボートの下をくぐり、すぐ脇で浮上!
しかしこの浮上のやりかたが荒っぽいのです。
例えば興味を持ったクジラがボートにつくときは、「プシュー」と呼吸で浮上だったり、顔をだしたりするのですが、このクジラは、ボートのすぐしたをくぐり反対側にでて
「どっか~ん」と背中から出てきたりするのです。
クジラをよく見たことのある人に説明するなら、
「ペダンクルスラップしようとしたけどやめておいてやったぜ」みたいな・・・
その後もボートの下にピッタリと留まるのです。
左舷側の水面下に見えるのはクジラの尾びれ・・・
右舷側にはクジラの頭・・・
「近寄った僕が悪かったです。ごめんなさい、もう早くどっかに行ってください」
と思っていたら、他のボートが来たところで潜って行ってくれました。
すると数分後に、そのボートに同じように「どっか~ん」とやっていました。(笑)
ウォッチングとしては大興奮だったのですが、写真は、近いだけのまったく面白くない写真ばかりなのでお見せしません・・・
 やっぱりクジラの写真は低いアングルから背景をいれて、ちょっと長めの望遠レンズで背景をぼかしてってのが個人的好みです。
これは、昨日撮ったもの、ソニーのα77Ⅱの70-400mmの400m(35ミリ換算で600ミリ)何気ない写真ですが、父島の町並みと母子クジラが撮れたお気に入りの一枚です。
望遠レンズで撮ると圧縮効果もあって背景の町並みが寄り近く感じます。
「玄関開けたら2分でごはん」ならぬ
「港をでたら5分でクジラ」といった感じです。

     160317_DSC2431.jpg



もう一点、こちらも同じレンズで、クロアシアホウドリと一緒に。


     160303_DSC1158.jpg

これは以前のものですが、今年も撮れるかな?
満月とクジラです。

     _MG_8334.jpg


といった感じでまだまだ5月までザトウクジラの季節は続きます。

小笠原 南 俊夫

« 春の気配 接し、観察し、考え続けること。 »

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