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一種徹底!「ヒメイカ編」

07 18, 2016 | Posted in 18日 函館・佐藤長明

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日本各地で観察できる「ヒメイカ」は世界で最も小さなイカとして知られています。
大人でも体長2約cm程と小型であることと胴から粘液を出してアマモや海藻など様々なところにくっ付いて生活することができます。
これはイカの中でもくっ付くことができるイカはヒメイカの仲間のみなのでこれだけで他のイカとの見分けがつきます。

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本来、函館(ウスジリ)の海でヒメイカの観察時期は水温の関係から、9〜1月までの4ヶ月間に限られます。
その中でも繁殖期は9~10月の中旬までが限界のようです。(今年は例外)
観察場所によっては年に2〜3度の繁殖期を迎えるエリアもあるようで、うらやましい限りです。
しかし今年の冬は水温が下がり切らずに生き残ったため通常年1回(10月〜11月)だった繁殖が2度に増えたのです。
これは毎年繰り返される訳ではなく今年はたまたま生き残ったために見られた繁殖と考えています。

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摂食について
ヒメイカならではの特徴は、食事方法にもあります。
それはエイリアンばりに口が伸びる事です。
獲物をがっちりと抱え込んだら自慢の伸びる口を獲物に差し込み、その中身だけを食べ殻は捨てちゃいます。
観察していても面白い行動なので、ぜひフィールドで観察してみてください。

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ヒメイカの雌雄について
ただでさえ小さなヒメイカをフィールドで見分けるには、ポイントがあります。
繁殖期に入った個体限定ですが、いくつかのコツをご紹介いたします。
まずは体サイズに注目しましょう。
オスよりもメスの方が大きく、また黄色味がかった体色をしている事が多いようです。
そしてメスの胴をよくよく観察すると、先端に近い部分には卵を発見できます。
ここまで押さえられれば、その個体は確実にメスと言ってよいでしょう。

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オスの胴部先端には、精莢(せいきょう)と呼ばれる精子の束が白っぽい塊として見られます。

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ヒメイカの産卵について
メスの産卵は、30~40分ほどかけて一粒ずつ産みつけます。
アマモや海藻など産卵基質そのものにこだわりは無いようですが、基質の幅にポインがあるように感じています。

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繁殖・交接について
ヒメイカは、オスがメスに精莢(せいきょう)と呼ばれる精子の束を腕の付近に渡します。
メスは産卵に際しその精子を使って受精卵にします。
産卵時は最も交接が観察しやすいタイミングです。
産卵を始めたメスは産卵終了までその場にとどまるため逃げることが少なくオスにとっては絶好の降雪のタイミングとなります。
また、メスは同一個体かは不明ですがすでに産み付けられている卵塊に連続してうみつける習性があるためオスは卵塊が産み付けられている場所に陣取りメスが来るのお待ち受けます。
メスが産卵に訪れ産卵を開始するとオスたちは我先にと交接に至ります。

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この時オスたちはスイッチが入った状態になるため時々間違ってオスに対して交接を行う個体も現れます(^^;;

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卵塊について
産み付けられた卵塊は透明感があり写真で撮影しても魅力的です。

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時間の経過とともに卵塊は浮遊物などが付着し中の状態が見えにくくなりますがよく見ると眼が出来たのを観察できます。

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そして孵化を迎えますが、孵化までの期間はエリアによっても差がありそうなので、明言は避けさせていただきます。

11.jpg


こんな身近にいる世界一小さなイカを観察してみませんか?

写真・文 佐藤長明
http://gruntsculpin.com/

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